「労働の思想史 哲学者は働くことをどう考えてきたのか」中山元著 読んでみた感想

読書感想文

読んでみたきっかけ、こんな人にお勧め

生活していくためには、少なからず働いて金銭を得て、生活費を得なければなりません。

もちろん、金が余るようにある人や、不労所得が得られるような人には関係ない話かもしれません。

でも、ほとんどの人は労働を避けて通ることはできないでしょう。

もちろん、私も介護職として労働をしているわけですが、

生活費を得るためだけに、労働をしているわけではないと思うわけです。

給料以外で労働に求めるものは人それぞれです。

自己実現のため、スキルや技術を身につけるため、一緒に働く仲間のためなどなど、

様々な感情や価値観があると思います。

私は、人によって労働に対する感覚や感情はなぜちがうのかと疑問に思い、

労働についての歴史について知りたいと思いが出てきました。

そこで出会ったのが中山元著の「労働の思想史」です。

労働の始まりから、産業革命や宗教革命などを経てどのように変化してきたのか。

どのように多様化してきたのか、一連の流れを学ぶことができると思います。

2023年2月22日に出版された書籍で、326ページあり、新しい本ではあり、内容も豊富です。

労働はどのように変化してきたか

労働史の始まりは石器時代から

人間が移住生活から、定住化するところからは始まります。

内容は主に西洋、欧米における労働に関する歴史です。

つまりは、キリスト教文化圏における労働の変化の歴史と言える思います。

様々な哲学者などの話や、キリスト教の世俗におけるあり方の変化の話も出てきます。

その上で労働がどのように影響を受けてきたのか。

人間と自然との関係における変化や、人間の内面・精神の変化についても書かれています。

くわしくは本書を読んで。

介護職は?

現代においては、新たな労働として感情労働や依存労働という言葉が出てきます。

私の本業である介護の仕事は、感情労働依存労働のわくにはいるようです。

利用者に接する際は、感情のコントロールを強いられることもあるし、

対応を誤れば、クレームの対象にもなる。

また、利用者がいなければ成り立たない仕事であり、利用者に依存した労働と言えるためです。

くわしく本書を、よんでみてください。

「なぜ働くのか」の答えを見つけるヒントとして

現在の資本主義社会において、

労働は、人間の行き過ぎた欲望を満たすため不必要な快適さを求めるすぎがゆえに

長時間の労働や高度なスキルが必要とされているのではないでしょうか。

それは、「なぜ働くのか」という問さえも受け付けないような厳しさがあるように感じます。

本書を読んで、長い歴史の中で労働がどのように変化してきたのか、

現代の労働が抱える問題は何なのかと考えるヒントになると思います。

まとめ・感想

私の根底には、

呪術廻戦の七海健人のセリフ「労働はクソということです」という感情があります。

その感情を覆すためにも、

「なぜ働くのか」「労働をどうとらえるのか」の答えは自分で模索しなければならない。

それは、個人主義的な考え方なのかもしれない。

自分の身近に、コミュニティや共同体がしっかりと機能しているならば、

働くことについての答えは安易に見つかるかもしれないが、

今の時代は、地域の共同体が薄れ、個人での生き方が問われている。

本書は様々な哲学者の労働についての考察を参考にすることができる。

それは、自分自身の労働観を問い直すことに十分な役割を果たすことだろう。

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