誰もが悩む問題
「この人苦手だな」「一緒に仕事をすると緊張してしまう人」
あなたの職場にこんな人はいませんか。
なんだか意見や考えが合わない。意見を合わせるのがしんどい。
これらは誰もが経験することではないでしょうか。
それは、介護の仕事の始めた動機であったり、生活環境の違いからくることが多いのではないでしょうか。
介護の仕事を選んだ動機の違い
介護の仕事に対する熱量や思いが違ったり、
介護の仕事を選択した動機も様々です。
仕事として割きてやっている人もいれば、
おじいちゃん、おばあちゃんが好きで、毎日キラキラと笑顔が絶えない人もいます。
また「困っている誰かの助けになりたい!」と助けることで自分が救われる。
そんな依存的な人もいるかもしれません。
ただ、なんとなく介護の仕事を選んだ人もいるでしょうし、
他の仕事に適性がなく、人手不足と聞いて、介護の仕事を選んだ人もいるでしょう。
生活環境の違い
利用者の生活を支えるために日々の介護の業務を行っていると、
考え方の違いや意見が食い違うことも出てくるでしょう。
また、利用者の生活環境と、介護者の生活環境は異なります。
もちろん介護者それぞれの生活も異なります。
利用者の生活を支えるのが介護の仕事です。
その介護を必要とする様々な生活の場面で、
介護の方法や考えの違いが出てきても不思議ではなく、
そこから意見の衝突や対立が起きてしまうこともあるでしょう。
そもそもの介護の目的について
価値観や考え方の違いから、意見対立が起きてしまうことはよくあることです。
でもここで大切にしなければならないのは、そもそもの介護の目的についてです。
介護保険法では、
介護の目的について利用者の尊厳の保持や自立支援と言ったことが書かれています。
職場によっては、「利用者の立場に立って」「利用者の視線に合わせて」とか、
「その人らしい生活」といった表現をしているかもしれません。
意見の対立において介護の目的から離れたところで、意見が対立している場合もあり、
その場合は、一度、振り返って考えなおす必要があるでしょう。
また、利用者が「毎日、お風呂に入りたい」と言った場合に
その思いに答えられる介護の職場はどれくらいあるでしょうか。
介護職は常に人手不足と言われていて、
毎日の入浴は、人員的に厳しい場合がほとんどではないでしょうか。
毎日お風呂に入って、身も心もすっきりしたいという介護者が
「毎日お風呂に入ってもらいたい」と意見をしても実現が難しい場合もあるでしょう。
つまりは介護の目的である利用者の尊厳や自立支援は、
職場の人員体制や設備によって実現可能な範囲が異なってきます。
実現可能は範囲での利用者の尊厳の保持や自立支援を考えなくてはなりません。
多様な意見の必要性
利用者の尊厳の保持や自立支援のために、
あなたの職場では、どのような介護の方法が良いか決める場合に、
どのようにして決めていますか。
たくさんの意見を集めたり、生活上の様々な知恵出したりすることは、
より良い介護をする上で必要なことでしょう。
ただ、職場によっては
先輩職員や上司が一方的に介護の方法について決めてしまっている場合もあるかもしれません。
たくさんの意見を聞いたり、意見をまとめたりすることは時間的にコストがかかると考えて、
独裁的に決めてしまうところもあるかもしれません。
ある意味、その方が様々な意見が封じ込められて、
意見の対立や食いちがいが起きないかもしれません。
中には意見の対立や食い違いを防ぐために、
職場の空気を読んで、意見を合わせたり、
先輩や上司の顔色を気にして忖度してしまうこと人もいるのではないでしょうか。
ここで考えなくてはならないことは、
利用者の生活を誰が見ているかということです。
先輩や上司だけではなく、その他多数の職員の手によって利用者の生活が支えられています。
見る職員によって、利用者の生活の様子が異なることもあったり、
特定の職員にしかみせない利用者のようすもあるかもしれません。
個々の職員の情報によって、利用者のアセスメントが必要です。
一部の人の情報に基づいた介護では、偏ったものとなってしまうかもしれません。
職員の教育の意味でも、一部の先輩や上司が介護の方法を決めてしまっていては、
いつも介護の方法について、上司に尋ねなくてはならなくなります。
各々の職員が、日々の利用者の様子を観察し適切な介護の方法を模索することにより、
自分自身で介護について考える力がついてくるのではないでしょうか。
その自分自身で考えた介護の方法を、他の職員と共有したり、意見を出し合うことにより、
より洗練された介護が提供できると考えます。
組織によくある「ほんねとたてまえ」・「場の空気」について
各々の介護職員が、意見を出し合うと、
必ず対立する意見が出ててきます。
その中で、より介護の目的にそったものを取り入れるべきでしょう。
「実現可能は範囲での利用者の尊厳の保持や自立支援」に適した介護を選択すべきです。
ただ、職場の中では発言力を持ちすぎている人がいたり、
上司や先輩職員に忖度したりする人がいたり、
意見の対立を恐れたり、場の空気を乱すことを恐れて、
意見をしない・できないこともしばしばあります。
話し合いの場が終わってから、「本当は○○の方がいいよね」なんてこともあったりしますよね。
日本人の特有の人間関係のあり方なのかもしれません。
「ほんねとたてまえ」であったり「場の空気」であったり、
空気や建前を読むために、周りの人の顔色をきょろきょろと見てしまう。
あるいは、きょろきょろと周りの顔色を見ることもめんどくさくなり、うつむいてしまう。
誰か、一部の職員に介護の方針を委ねてしまう。
上司や先輩職員に言われたとおりに、介護をやっていいればいい。
これでは、より良い介護行うことは難しくなるかもしれません。
より良い介護を行うためには、
様々な介護者の視点が必要であり
その視点をもとにアセスメントし、プランニングを行い、介護を実施していくことが重要です。
「ほんねとたてまえ」「場の空気」にとらわれてるのではなく、
利用者の生活を支える介護者としての自覚が必要です。
理想的な人間関係とは
利用者の生活をアセスメントする中で、
自分自身が感じたことや、考えたことを意見することを、大切なことです。
ただ、意見を出すと時には、価値観の違いにより、
食い違いや対立が起きることも確かです。
ただ、そこには、
利用者の生活を支えるための介護職としての共通の立場があります。
一人一人の職員は、働く動機や生活環境も異なります。
そのことから、価値観や考え方の違いにより、
意見が食い違ったり、対立が起きてしまうことは起こり得ることです。
重要なことは、目指している方向は同じなのですが、
考え方が異なっているということです。
お互いの意見は、どちらも介護の目的を果たすためだということです。
そのためどちらの意見も、尊重されるべきであり、
必要な意見なのです。
そのうえでどちらの意見がより適しているのか。
あるいは、二つの意見を合わせたような意見が可能なのか。
お互いの考えをすり合わせていくことが大切です。
話し合いの中で、自分の意見を曲げたり、変える必要もあるでしょう。
それは、利用者の生活のためであり、介護の目的を果たすためでもあるのです。
よくあるのは、
私情を挟んでしまうことです。
利用者の生活を支えるための介護職という自覚が薄れて、
自分自身にとって、都合のいいように介護の方法を変えてしまうこと。
また、そのように考えてしまう場合もありえるでしょう。
また、多忙な業務の中で
利用者の尊厳の保持や、自立支援と言う介護の目的からずれて、
効率的に介護を終わられようとしてしまう。
もちろん、介護の目的とは関係のない業務は、
効率的な方がよいでしょう。
ただ、効率化を重視するあまり、
利用者の尊厳の保持や、自立支援が損なわれてしまってはいけません。
自分自身の意見が、本当に利用者の生活のためであり、
介護の目的にそったものであるかも考え直してみても良いかもしれません。
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