ここでは、言語学の視点から、
介護の仕事場で起きるコミュニケーションの課題について説明していきたいと思います。
言語学と言うと難しく感じるかもしれませんが、わかりやすく簡単に説明したいと思います。
言語学
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言語学には「シニフィエ」と「シニフィアン」という概念があります。
言いにくい言葉ですが、もともとはフランスの言葉で、
フランスの言語学者、ソシュールが考え出したものです。
それぞれの意味について説明します。
シニフィエとシニフィアン
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シニフィエは、記号表現。
シニフィアンは、記号内容。
です。
というのは冗談です。
これだとよく意味が分からないので、
「りんご」を例に説明をしたいと思います。
「りんご」というと、
赤くて、丸い、果物と言ったイメージがあると思いますが、
このイメージの部分が、シニフィアンで、
「り・ん・ご」という文字の形、あるいは音がシニフィエです。
つまり、言葉には、文字の部分とイメージの部分があるという事です。
話し言葉だと、音の部分と、イメージの部分があるという事です。
なので、
イメージの部分である「シニフィアン」は、【記号内容】という言い方をします。
文字や音である「シニフィエ」は、【記号表現】という言い方をします。
シニフィアンとシニフィエの関係性について
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一般的に
「りんご」と言えば、赤くて丸いおいしい果物をイメージしますが、
「りんご」という言葉と、りんごの持つイメージには、
必然性はありません。
例えば、
赤くて丸い果物を、なぜ「りんご」と呼ぶのか。
この問いに、答えるのって難しくないでしょうか。
そう教わったとしか答えられないと思います。
また、「りんご」という言葉に対して、
思いつくイメージも、人によって様々です。
「りんご」と聞いて、
嫌いな果物と思い浮かべる人もいれば、
焼きりんごを思い浮かべる人もいるかもしれません。
もしかしたら、アップル社が頭の中に出てきた人もいるでしょう。
つまり、
「り・ん・ご」という【記号表記=シニフィエ】の部分から
イメージされる【記号内容=シニフィアン】の部分は、
人によって個人差があるということです。
シニフィアンの個人差
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ひとつの【記号表記=シニフィエ】からイメージされる【記号内容=シニフィアン】は個人差があるという話をしました。
それは、なぜなのでしょうか。
それは、人それぞれ、育ってきた環境や、言葉を獲得してきた経験が異なるからです。
りんごの場合、それほど差はないですが、
「お父さん」「お母さん」という【記号表記=シニフィエ】からイメージされる【記号内容=シニフィアン】は、どうでしょうか。
一般的には、
自分を生み育ててくれた存在かもしれません。
温かくいつも見守ってくれる存在というイメージもあれば、
親子関係がうまくいっていなければ、
苦痛を感じる人もいるでしょうし、
嫌なイメージを持っている人もいるかもしれません。
これは全ての言葉に言えることです。
【記号表記=シニフィエ】からイメージされる【記号内容=シニフィアン】は、
人それぞれ異なるのです。
職場のコミュニケーションで考えると
何気なくしている日常の会話ではどうでしょか。
自分が放った言葉により、相手の受け止め方が思っていたものと違うことはよくあることだと思います。
言葉のキャッチボールというのは、
【記号表記=シニフィエ】のやり取りですが、
そこから感じる【記号内容=シニフィアン】は、個人差レベルでずれが生じてきます。
その結果、
伝え方が悪いと、
予期せぬ結果を招いたりします。
よくある例としては、
先輩職員が、新人職員に仕事を教える際に、
言ったはずだけど出来ていない。
仕事を教えたけど、伝わりきっていなかった。
というのは、よくあることではないでしょうか。
対処法!?(まとめ)
人間関係が希薄化してるといわれる時代の中で、
ましてや、コロナ禍の中で、コミュニケーション不足が起きているのかもしれませんが、
新人教育や上司と部下のやり取りの中で、お互いの事を知っていくことが大切ではないでしょか。
介護の業界は、
常に人手不足と言われています。
そして、入れ替わりの激しい業界でもあります。
そのため、
様々な動機で、介護の業界に入ってくる人がいます。
ただ、職を求めて転職する人もいれば、
しっかり学校で知識や技術を学んで、介護の業界に入ってくる方もいます。
様々な物語を持った人が介護職として働いています。
表面的な言葉のやりとりによる指示や指導だけでなく、
新人職員や、上司、部下がどのような価値観や考え方を持っているかを知り、
コミュニケーションを取っていくことが大切です。
【記号表記=シニフィエ】だけでなく
個人差のある【記号内容=シニフィアン】を意識することが大切です。
相手が、どのように感じるか。
それは相手が、どのような人生・物語を歩んできたか、
どのように言語を習得してきたかが、大きく作用します。
ただ単に、業務内容を伝えればいいのではなく、
コミュニケーションを取り、相手を知り、関係性を築いていくことが大切です。
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