何のための非審判的態度か【バイステックの原則】一方的に非難しない事とは?

介護の知識等

施設介護歴14年、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士のひろゆきです。

バイステックの原則ってご存じですか。

対人援助における基本的な姿勢を7つにまとめたものなのですが、

実際の介護現場でも介護者の基本的な姿勢としても使えるものです。

もちろんですが、福祉系の国家資格の試験には必ずと言っていいほど出ますので、

覚えておいて損はないです。

また、覚えるだけでなく実際の介護の場面でも生かしてほしいと思います。

今回は、7つの原則のうちひとつ「非審判的態度」についてお話ししたいと思います。

非審判的態度とは

非審判的態度とは、

クライエントの言動に対して、一方的に非難しないことです。

介護の場面で言えば、

利用者の言動に対して、ダメであるとか、いい悪いのジャッジを下してはならないということでしょう。

具体的に言えば、

認知症を持った入居者が、誤って他の入居者の居室に入ってしまった。

その際に、一方的に「部屋に入ってはダメだ」と言って、

その部屋から遠ざけようとするような場合です。

バイステックは以下のように言っています。

ケースワーカーはクライエントに罪があるのかないのか、あるいはクライエントが持っている問題やニーズに対してクライエントにどのくらい責任があるかなど判断すべきではない。しかし、われわれはクライエントの態度や行動を、あるいは彼がもっている判断基準を、多面的に評価する必要はある。また、クライエントを一方的に非難しない態度には、ワーカーが内面で考えたり感じたりしていることが反映され、それらはクライエントに自然に伝わるものである。

入居者の態度や行動を、

一方的に非難せずに、多面的にとらえる必要があり

また、介護者は、自身の価値観で入居者を判断してしまう傾向があることを自覚する必要がある。

ということです。

つまり、一方的に非難してはならないのはもちろんですが、

介護者は、

自分の価値観で入居者を判断してしまう可能性があることを自覚する必要があるということです。

なぜ、非審判的態度が必要なのか

バイステックは以下のように述べています。

クライエントは自分が裁かれないように防御して、非難される恐れを除去しようとする。そして、この不必要な防御がクライエント自身や不適応に陥った原因を客観的に見つめる作業を困難にさせているのである。

つまり、

非審判的態度が必要なのは

入居者は、介護者に一方的に非難されるのを恐れて、自分を表現するやめてしまい、

また、本来の自分の気持ちがわからなくなる状態に陥ってしまうのを防ぐためです。

周りの目や声を気にしてしまうことにより自分を抑圧してしまうこと防ぎ、

また、自由な自己表現を促すために、非審判的態度が必要なってくるのです。

ほめることについて

ここで、一方的な非難について述べられていますが、

ほめることについても注意が必要です。

バイステックは以下のように述べています。

クライエントは、ケースワーカーが伝えるほめることばや承認などの判断からも影響を受けるものである。
クライエントはワーカーのほめることばを聞いて、ワーカーが望ましいと考える姿で自分を装うとするかもしれない。

介護の場面で言うと、

入居者は、介護者のほめる言葉を聞いて、

介護者の思い描く姿に、自分を寄せようとしてしまう。

もっと言えば、

入居者が介護者の都合に合わせてしまっている場合もあるでしょう。

そこには、本来の入居者の姿はありません。

援助者に求められるもの

クライエントの自己表現を促すために、非審判的態度が重要であることを説明してきました。

ただ、

バイステックは以下のようにも述べています。

ケースワーカーが一方的にクライエントを非難しないという態度と、われわれが社会的・法的・道徳的な規準に無関心でいることと混同すべきではない。非難しない態度と価値基準の体型を無視したり拒んだりすることとは全くの別物なのである。

例えば、認知症の入居者が、

他の入居者の居室に入り、モノを取ってしまった場合に、

無関心でいることは良くないということです。

続いて、

クライエントを一方的に非難しないという態度は、人間の行動をいろんな角度から判断する努力をやめることではない。クライエントを非難しないという態度は、多面的に人や物事を判断する努力と両立する。

一方的に非難しないことも大切ですが、

同時に多面的に人や物事を判断する努力が必要とあります。

このことについては、次の事例で説明していきたいと思います。

事例

高齢の認知症の入居者Aさんが、

他の入居者Bさんの居室に入りものを取ってしまった場合を考えてみましょう。

Aさんは、体は元気で、歩くこともできて、移動に不自由がありません。

ただ、認知症の進行が見られて、物事の判断や認識があいまいになってきています。

介護施設では、手を焼くパターンではないでしょうか。

その入居者が、他の入居者の居室に入り、モノを取ってしまいました。

取られた入居者は怒り心頭です。

この事例で、非審判的対応を考えてみましょう。

ここで、物取りは犯罪で窃盗罪として、Aさんを裁くこともできますが、

あまりに一方的でしょう。

Aさんの状態を多面的にとらえる必要があります。

認知症の進行が見られ、物事の判断や認識があいまいになっていたとあります。

自分の居室と思い、居室に入り、気になるものがあったので手に取ったと考えることも可能です。

手に取ったものは自分の物ではないために、居室の外に出そうとした。

あるいは、誰かに渡そうとしたと考えることも可能でしょう。

また、Bさんの居室に入ったのも、

自分の部屋がわからなくなり、とりあえず部屋に入ってみたのかもしれません。

いろんな可能性が考えられます。

これが多面的に人や物事を判断することではないでしょか。

多面的に考えて上え、対応を取っていくことが大切です。

まとめ

非審判的態度とは、

入居者の自己表現を促すための態度であり、

また、多面的に人や物事を判断する努力が求められます。

ただ、介護者は自分の価値観にとらわれやすいのも事実です。

介護はチームで行うものです。

自分の価値観だけで、入居者を判断せずに、チームで多面的に評価する方法も良いかもしれません。

一方的な価値基準で入居者を判断しては、

本来の入居者らしさは失われていってしまいます。

非審判的態度を思い出して、入居者と向き合ってみてはいかがでしょうか。

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