統制された情緒的関与【バイステックの法則】その意味と必要性について

介護の知識等

こんにちは。

施設介護歴14年、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士のひろゆきです。

「統制された情緒的関与」とは、バイステックの原則に一つですが、

統制された情緒、また関与とはどのような意味なのでしょうか。

F・P・バイステック「ケースワークの原則」尾崎新、福田俊子、原田和幸訳 誠信書房

を参考にして、説明してみたいと思います。

統制された情緒的関与とはどいういうことか

「統制」について辞書で調べると、

「国家などが一定の計画や方針に従って指導・制限すること。」とあります。

「情緒」とは「事に触れて起こるさまざまの微妙な感情」とあり、

つまり、

援助者として

自らの感情をコントールして、クライエントと関わっていく」と言うことが出来ます。

 

次に、バイステックの言葉を紹介しましょう。

ケースワーカーが自分の感情を自覚して吟味するとは、まずはクライエントの感情に対する感受性を持ち、クライエントの感情を理解することである。そして、ケースワーカーが援助という目的を意識しながら、クライエントの感情に、適切なかたちで反応することである。
 

バイステックは、統制された情緒的関与とは述べずに、

自分の感情を自覚して吟味すると述べています。

そして、クライエントの思いを受け止め、適切なかたちで反応する事と述べています。

そのためには、自分自身の感情を自覚し気づく必要があるということでしょう。

ケースワーカは、感情と試行の両面でコミュニケーションを行う技術を身につける必要がある。…ケースワーカーがクライエントやワーカー自身の感情に適切に反応する技術はケースワークのなかでも難しい技術のひとつである。

援助者も人間です。もちろん感情があります。

自分自身の感情に自覚的でありながら、クライエントにとっての適切な反応することが求められます。

クライエントの感情によっては、わたしも感情的になってしまうことがあります。

援助の関係においては、

冷静にクライエントの気持ちに寄り添いながらも、

感情的ではない適切な対応が求められるのだと思います。

統制された情緒的関与に必要なものとは

相手を知る

感受性

クライエントの感情を受け止める時、

それは、必ずしもクライエントから直接的な言葉があるわけではありません。

言葉以外の様子からも、クライエントの感情を受け止めていく必要があります。

顔の表情であったり、声のトーンであったり、速さであったり、

そういった違いを受け止められる感受性が求められます。

理解

クライエントの持つ感情が何を意味するのか。

それは、日々の生活の流れの中であったり、

今までどのような人生を送ってきたかにおいて、

クライエントの持つ感情の意味は、変わってくるでしょう。

反応

クライエントの持つ感情を受け止め、理解し、

クライエントに対して、反応していきます。

その際、必ず言葉で返さなければならないわけではありません。

態度や姿勢によって伝わることもあります。

ただ、

クライエントの感情に対して、無反応であれば、

援助の関係性に悪い影響を与えてしまいます。

自分を知る

援助者も感情を持つ人間です。

時にクライエントの感情に影響を受けて、

クライエントの感情に流されてしまうこともあるでしょう。

人間と言うのは、お互いに影響をしあっている生き物だと思います。

それは、援助関係においてもあり得ることです。

そのために援助者は自己覚知をする必要があります

自分自身を知るということです。

クライエントの感情を前にして、

自分自身の感情を自覚できているか。

自分自身の感情を自制し、コントロールできているか。

 

ただ、援助においては目的があります。

その援助の目的にそって、

クライエントの感情に適切に反応しいく必要があります。

まとめ

「統制された情緒的関与」とは、

援助者は、クライエントととの援助関係において、

クライエントの感情を受け止めながらも、

自らの感情を自覚し、コントロールしながら、

援助の目的のそって適切な反応をしていくことが大切だということです。

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